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| 拉通プロデューサー、山路力也自らが語るra2のラーメン開発秘話からプロデュースする上での考え方などを一挙公開。ここまで話していいのかってくらい語り倒します。いかにしてあの名作や迷作ラーメンは産まれたのか?読んでから食べるか、食べてから読むか(古)。 |
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2000年に入ってから、青葉を模倣したラーメンが多く出て来て以来、いわゆる「インスパイヤ系」などというカテゴリのラーメンが認知されるようになりました。しかし個人的にはもうどこかに似ているラーメンがある、っていう時点でダメ。よくまぁ他の店のラーメンを真似して自分のところの商品として出せるなぁと思うわけです。そこの味に衝撃を受けて修業して暖簾分けしたならいざ知らず、こっそり食べに行って味を盗んでそのまんま提供する、みたいなノリで作られたラーメンはどうも性に合いません。クリエイティヴではないなぁ、と思ってしまうのですね。 ただまぁインスパイヤされたこと自体はいいでしょう。問題はそこで貰った種なりヒントをどう自分のモノとして消化するか。しかし実際にはほとんどのラーメンが元のラーメンを模倣しているところで止まっていて、そこから発展させたオリジナリティがないのがイヤでした。また模倣といってもそれは本当に真似事でしかなく、しっかりと模倣しているモノは皆無。本物ではない上に、それでいて本物よりも美味しくないのであれば、全く存在価値がないと言ってもいい。そんなのだったら最初から青葉や二郎に行くわけです。もしも模倣するならばまずは完全コピー。完コピ出来ないでオリジナルも何もあったもんじゃありません。それがあって初めてアレンジ、そして最終的にオリジナルへの転化、つまりはインスパイアされたラーメンの完成。僕はそう思っています。しかしそもそもオリジナルが偉い、と思っている人間ですので、基本的には人が考えたことをなぞることには全く興味がないわけで、昨今のインスパイヤ系のラーメンなどというモノは基本的には一段下に見ています。最初の発想、アイディアの部分が一番重要なわけで、そこを考えてないラーメンは作品と呼ぶには値しないというのが基本姿勢です。 従ってra2がこのようなスタイルのラーメンに取り組む場合は、当然のことながらまずは本物の完全コピーを目指し、それを一旦ぶち壊して更に上を行くものでなければ意味がないと考えています。で、5月限定の「義経」。これは「インスパイヤ系」ではありません。このラーメンは私から言わせてもらえば「リスペクト系」。背脂チャッチャ系の中でも屈指のこってり度と人気を誇る「らーめん弁慶」のラーメンに敬意を表して、ra2なりの解釈で弁慶の背脂ラーメンを超えた一杯に挑戦しよう、というのがコンセプトでした。最近流行のラーメンではなく、一世を風靡した人気ラーメンに敢えて挑戦してみたかったのもありますが、ある種完成し切ってしまっている「背脂チャッチャ」というパッケージをどう料理出来るか。その部分に挑戦しがいがあると思ったわけです。 まずは完全コピー。スープ、醤油ダレ共に試作を重ねて正直ほぼ完全コピーのモノが完成したと言っていいパッケージが出来ました。問題はここからです。いかにこれを壊して新たなモノを作り上げるか。この時に私がよく使うのは「デフォルメ」という手法。これはラーメン用語ではなく(笑)敢えていえば現代美術用語ですが、要は現在構築されている要素、モチーフの形や大きさなどを変型、修正、誇張して再び配置すること。分かりやすくこのラーメンで説明すれば、弁慶のラーメンを要素レベルで見つめなおし、一番注目すべき点にフィクスして、そこを攻めていくわけです。そうするともうこのラーメンで注目すべきは「背脂」しかない(爆)。弁慶を超えるためには背脂へのアプローチがポイントになると思いました。とりあえずいつものパターンというか、もうこれは枕詞みたいなもんですけれども「究極の背脂ラーメン」「史上最強の背脂ラーメン」をコンセプトに(笑)スクラップ&ビルドを開始します。弁慶の上を行くラーメンなのだから、商品名はこれしかない!と「義経」に決めました。 まずは振る背脂の量を多くしてみます。しかしこれでは弁慶のギタでしかない。いかにして背脂を強調するか。そこで思い付く限りの背脂のバリエーションを考えてみました。背脂ミンチ、これは尾道ラーメンなどで定番ですが、振った背脂の中に混ざっていたら食感が変わって面白そうです。背脂の角切り、これも浮かべているラーメン店が時々あります。角切りをただ浮かべるだけでは能がない。そこでパンソテーと炭火炙りを考えました。ソテーの方はソースに絡めて、グリルの方は塩胡椒を軽く振って。もちろん調理法のみならず煮込み加減も変えて食感が異なるように工夫しました。これで注目すべきポイント「背脂」のデフォルメが完成です。 しかしこれだけでは弁慶に背脂の具を足しただけ、になってしまいます。そこでもう一点手を加える場所が必要となるのです。弁慶のもう一つの特徴といえば、あの麺。浅草開化楼が手掛ける弁慶の麺は私も大好きな麺ですが、あの麺についてもしっかり考えなければ今回のラーメンは成立しません。この場合、麺についてはいくつかのオプションが考えられます。1:ra2の麺を手掛けているカネジン食品さんに特注する。2:浅草開化楼さんに弁慶の麺を提供してもらう。3:浅草開化楼さんに特注する。1が正攻法のアプローチであり基本のアプローチになりますが、2に関してはパクリが本物を使うという面白さがあります。そして3が一番ハードルが高いですがやりがいのある選択肢になります。厨房スタッフと僕の意見は一致して3。ここらへんがra2らしいところです(笑)。さっそく浅草開化楼の負死鳥カラスさんと意見交換と試作を重ねて、切り刃6番という超極太の「ra2専用極太q=(^ー゚)チーメン」を開発して貰いました。 背脂と麺、デフォルメした2つの要素を再配置します。基本はしっかり弁慶の完全コピーでなければならないと考えているので、具材には弁慶のラーメンと同じくチャーシュー、メンマ、モヤシ、ネギを乗せました。ただここで私の遊び心が働いて、チャーシューを少しいじってみようと考えました。というのも、弁慶はただでさえ背脂が多く浮いているのにも関わらず、なぜあの脂身の多いバラロールなのか、ここが疑問だったからです。このチャーシューは別のモノの方が合うはずだと思いました。ここはデフォルメの中でも誇張ではなく修正になりますね。普通に考えればモモ肉か肩ロースかというところですが、今回はラム肉を使って今までにないラムチャーシューに挑戦して見ました。なぜラム肉にしたかは内緒です(笑)。結果背脂たっぷりのラーメンの中でラムチャーシューはいいアクセントになっていると思います。また今回薬味のネギは可能な限り地元八千代産のものを使うようにしています。旬の地元の素材を使いたいという考えから、特に緑色のネギは長ネギではなく、八千代産の葉たまねぎを使用しています。春のこの時期だからこそ楽しめる、清廉な香りの薬味をご堪能いただけます。ワイルドな中に吹き抜ける爽やかな風といったところでしょうか(笑)。 味、バランスともに、パッケージとしてはかなり完成度が高いものであると自負していますが、当然もっと背脂が少ない方がバランスがいいに決まってます(笑)。あくまでも背脂の量が先にありき、のラーメンとしては、という意味ですけれど、思った以上に食べやすいと感じると思います。しかし背脂に対してのキャパシティが人によってまちまちなので、そこだけが読みづらい部分ではありました。スープは完飲しないという前提で具の量も決めましたが、やはりモヤシは逃げ道になるために(笑)避難場所として多めに入れましたし、麺も太いため200gという結構なボリュームになっています。なので一般の方にはかなり多いと感じられるボリュームかもしれません。しかしとりあえずは一般の方はまず頼まないだろうと(笑)いう考えで、いわゆるガッツリ系に近いラーメンにしてみました。ただ自分で手掛けておいて言うのは何ですけど、私はこのラーメン一杯は食べ切れない腑抜け野郎です(爆)。あ、このラーメンは注文した人だけのお楽しみ?があります。 |
