鰤らあめん正明

外観(09.9.3)

鰤らーめんしお(09.9.3)
鰤ちゃーしゅーめんしお(09.9.3)

基本メニュー 鰤らーめんしお(680円)
所在地 松戸市古ヶ崎842-1
電話 047-361-0253
営業時間 18:00〜23:00
定休日 月・火
アクセス JR常磐線・新京成線「松戸」駅西口下車。直進し松戸駅入口交差点を右折、根本交差点を流山街道へ。古ヶ崎五差路手前右側。街道沿い先に駐車場あり。


 4日松戸にオープンする新店。この場所は人気店「汐留らーめん」のセカンドブランド店である「黒豚豚骨らあめんBamboo!Young」というお店があった場所である。「Bamboo!Young」は今年6月に移転休業となったが、汐留らーめん店長の長岡氏が独立する形で、自身の味と店名でのオープンとなった。味作りにはもちろん師匠の竹若氏はじめ、汐留のスタッフたちもサポートしてくれたのだとか。

 店内の雰囲気などはBamboo時代と変わることがないが、店前の看板が随分と様変わりした。鰤の文字で染め抜かれた紺色の暖簾や真っ白い提灯でまとめられたシックな外観に、店主長岡氏の等身大の写真や可愛らしい鰤のイラストの入った看板などが妙なエッセンスを加えている。駅前などの立地とは異なり、ここは車などの交通量が激しい場所なので、やはり目を引く看板などが必要なのだろう。

 店名にもあるように、こちらのお店は「鰤らあめん」が看板メニューになっている。メニューは基本の「鰤らーめん」(700円)の他、「鰤チャーシューメン」(1000円)「鰤らーめん全部のせ」(1300円)などがある。味はしおが基本だが、しょうゆも用意されています。またサイドメニューには「鰤ごはん」(390円)があるなど、どこまでも鰤づくしなのは潔い。長岡氏は生まれが鹿児島だそうで、鹿児島の特産である鰤をラーメンに使いたいと思ったのだとか。鰤といえば旬は冬だが、鹿児島は天然もののみならず養殖でも日本有数の県として知られており、そこで通年でも良質のものを入手出来るルートを確保したそう。

 しかし気になるのは鰤の使い方。鰤ラーメンと聞いて、あぁアレね、と思う人はまずいないだろう。果たして鰤をどのように使ったのかが大変興味のあるところ。結論から言えば、あらゆる使い方で鰤を使い尽くしたと言おうか、ラーメンすべてに鰤が使われていると言ってもいい感じ。スープは一本の寸胴に大きな鰤を20数本投入、丸鶏や香味野菜もたっぷりと入ってじっくりと炊き上げている。そもそものヒントは潮汁ということだが、鰤だけではやはりラーメンのスープとしては弱いので、鶏の旨味を補完したのだそう。このスープが実に美味しい。潮汁をイメージしたとは言いながら潮汁にありがちな、生臭さとか魚サカナしているわけではなく、かと言って節系や煮干し系とも違うどっしりとした旨味が良い。表面に浮かんでいる特製の鰤油もかなり効果的です。ちょっと胡椒系のスパイスが気になったが、しっかりと旨味を蓄えたスープにはグイグイ飲ませる力がある。人によってはこのスパイスが強いと感じるのと、油分が多いと感じる人はいるかも知れない。

 麺は自家製の中細ストレート麺。師匠の竹若氏がレシピを考えて伝授したのだそう。しっとりとした食感がスープに合っている。油がそこそこ浮いているスープなので、絡みも悪くない。まだ麺を作り始めて数ヶ月だから、これから麺はもっとレベルアップしていくのではないかと思う。そして具。なんと新鮮な鰤の切り身が乗ってくる。注文を受けてから包丁で切り、ニンニク醤油に軽く漬けたもの。これが通常のラーメンで2枚、鰤チャーシューメンだと5〜6枚乗ってくるのだ。生で美味しいものは生で食べて欲しいという長岡氏は、ラーメン界に入る前は寿司や和食の世界にもいたのだそう。この切り身が新鮮でとても美味しく、ラーメンの具としても十分成立しているのだ。そして面白いのはスープの熱が身に入ること。生の食感を味わいたければすぐ食べて、火を通したければスープに浸してと、鰤しゃぶのような楽しさがある。丼の中で調理が出来るというか、自分の好きな食べ方が出来るというのがいい。以前、町田の「勇次」(現在は八王子に移転し「圓」として営業)が限定でやった「鰤ラーメン」も同様に鰤の頭や骨を使ったスープで、鰤の切り身も入っていたかと思うが、生の状態で食べさせるというのが面白い。しかしこの生の鰤の切り身、相当美味いなぁ。鹿児島の養殖ブリのレベルをまさかラーメンで知る事になるとは。これが二枚では物足りないと思う方も多いのではないだろうか。そんな方には少々値が張るが、鰤チャーシューメンをぜひ食べて頂きたい。

 生魚が乗っていたり、潮汁のようだったりと聞くと、なんとなく和食的なイメージがあるかも知れないが、しっかりとラーメンとしての存在感がある。鰤は脂が乗った魚なので、ラーメンとしても十分に成立するのだなぁ。あとは鰤の使い方をもっと工夫したらより楽しいお店になるのではないかと思った。今のところ鰤はごはんモノも生魚を乗せていて、生でしか食べさせていないのだが、例えば鰤を照り焼きにしてラーメンに乗せたり照り焼き丼を作るとか、生姜醤油か何かで煮込んでみるとか、鰤一つでも色々と可能性が広がりそうだ。ここまで来たら鰤にこだわり続けるのもアリなように思う。僭越ながらその旨長岡氏にもアドバイスしてみた。

 ただ一つ心配なのは鰤の状態。ニュースなどでご存知かとは思うが、今年の夏に鹿児島ではシャトネラ・アンティーカによる赤潮被害で、養殖ブリが相当な打撃を受けた。なんとか被害も収束に向かっているようなのでとりあえず安心ではあるが、ただでさえギリギリの原価率で作っているラーメンのようなので、鰤の状態や価格が安定することを望む。次は醤油を食べに来たい。(Ricky)

2009.9.3