試作を重ねる中で、醤油の色を活かしたラーメンにしよう、という方向性は見えてきた。しかし肝心のスープベースが見えてこない。「醤油の色は竹岡式のような色だとしても、スープがあっさりでは普通すぎてつまらないんじゃないですか」増田が切り出した。「でも白濁したスープだと、醤油の色は多少は薄まってきちゃうよね」榊原が言った。
「でも醤油を全面に出すならば、あの竹岡のような色にはこだわるべきでしょう」池田の意見に皆が頷いた。
松井は既にいくつかのメーカーに醤油のサンプルを発注していた。「そう思ってさ、たまり醤油とか色の濃い醤油を中心にオーダーしてみたんだよ」もちろん使用する醤油は千葉県産のもの。出来るだけ千葉の地のものを使おうというのも千葉魂の現れであった。
まずは竹岡式に敬意を表して、カエシとお湯だけでスープを作ってみる。「これだよね」と皆にこやかになる。そして色々な醤油の特徴や違いを試していく。しかしもちろんこれでは大晦日のラーメンにはならない。
醤油の色がしっかり出ているラーメンの場合、たいていがスープベースはクリアな、いわゆる「あっさり」したものが多い。ありきたりではない味がイベントのラーメンには求められている。「この醤油臭さを残したまま、他の旨味を感じさせるスープになれば」と田代。「醤油をどんどん煮て詰めていけば濃い色のカエシは出来ますよ」と増田は言った。
醤油の味と香りはしっかりと立たせながら、それでいてどっしりとした重さと旨味のあるスープ。千葉の新ご当地ラーメンの方向性が朧気ながら見えてきた。