第2回:九州豚骨どうたぬき(下総中山)

独学で挑んだ無化調豚骨の進化は止まらない

濁した豚骨ラーメンにはまったのが、ラーメンを食べ歩くきっかけだった。以来いろいろな白濁豚骨ラーメンを食べてきたが、中でも下総中山の「どうたぬき」は、昨年のオープン当初と比べて、明らかに味に深みが増した、今注目すべき白濁豚骨ラーメン店だ。

 この店のこだわりは「化学調味料不使用」いわゆる「無化調」豚骨である。これは白濁豚骨ラーメンの世界では非常に希有な存在である。というのも、白濁豚骨ラーメンの場合、ベーススープの濃度が非常に強いので、タレにもかなりしっかりした旨味を持たせないと受け止められない。そんなスープに負けないタレを低コストで作ろうとすると、ある程度化学調味料の力が必要となる。コストを考えずにラーメンを作るのであれば天然素材で十分な旨味を出すことが出来るだろう。しかしコストが上がれば利益率は下がる。利益率を維持するとなると、その分は価格に反映されて高いラーメンになってしまう。つまりラーメンをビジネスとして成立させるためには、ある程度安くて美味しいものを作らなければならない。そのために化学調味料は必要なのだ。

 店主の高尾さんは、他のお店とは違った白濁豚骨ラーメンを作りたいと考えて、それならば他がやっていない無化調豚骨にチャレンジしようと思ったのだという。それはもしか
したら、ラーメン作りやラーメン店経営の経験がなかったからこそ生まれた発想だったのかもしれない。
 
 自慢のスープは豚頭のみを使用して一昼夜じっくりと煮込む。しかしそれだけでは豚の旨味しか出て来ない。開店当初はそこが無化調豚骨ゆえのウィークポイントだった。そこで鶏、野菜など別の旨味ををタレに閉じ込めて足りない旨味を加え、無化調でも濃いスープに負けないタレを完成させた。この進化がラーメンのレベルを数段上げた。もちろん醤油も化学調味料が入っていないものを探して使用している。

 前半は濃度の濃いスープと奥様が打たれる自家製低加水麺の相性を楽しみ、後半は卓上に置かれたニンニクチップを入れて変化を楽しむのが私流。優しくまるいけれどパンチの
ある、他では味わえない良質な豚骨ラーメンが堪能出来ることをお約束できるお店だ。