第3回:屋台拉麺一’s(稲毛)

帰ってきた屋台で冷えた黒ビールと共に味わう塩ラーメン

を飲んだあとには、締めのラーメン。屋台で夜風に当たりながら熱々のラーメンをすする。そんな夏の夜の楽しみ方をされている方も多いだろう。先月オープンしたばかりのこの店は、元々軽トラックで営業していた「屋台」。稲毛では知る人ぞ知る、お洒落な屋台ラーメンとしてファンの多かった店だった。

 誰もが想像出来る夜の街角にある見慣れた風景。サラリーマンがネクタイを緩めて、無愛想な親父がラーメンを作っている。私も何度となくノスタルジックな思いと共に屋台でラーメンを喰らった。しかしこの一’sが屋台だった頃、初めてその屋台に足を運んだ時、そこには見慣れた光景はなかった。意外なまでに多い女性客、コックコートを着てきびきびと動くスタッフや、バーのようなドリンクメニュー、そして何よりもその本格
的な塩ラーメンに驚いたものだ。新感覚のお洒落な屋台、それが屋台時代の一’sだった。

 その屋台ラーメンが惜しまれつつ閉店して8ヶ月。屋台時代のお洒落な雰囲気はそのままに、同じ稲毛駅前で常設店として復活した。店内だけを見る限りではラーメン店とは思
えない、お洒落なカウンターバーの様相である。本格的なカクテルや、レア物の焼酎はもとより、今巷で話題のギネスドラフトサージャー(ギネスビール専用の泡立て機)を置い
てある店など、本物のバーでもまだ数少ないのではないだろうか。

 もちろん肝心のラーメンもハイレベル。屋台時代に人気を博したラーメンを再検証し、ブラッシュアップさせたスープは、牛骨、豚骨、丸鶏のベースに昆布やシイタケの隠し味。仕上げには牛スジ肉が投入される。また塩ダレに牛テールやハチノス(牛の第2
胃袋)を入れて足りないうま味を補完、重層的な味わいのスープになっていて、加水率低めの細麺との相性も申し分ない。刻まれたネギと大葉が爽やかさを演出している。

 屋台時代と異なり、昼にもこのラーメンが味わえるようになったのも嬉しい。ラーメンだけでは物足りない人には、スープで使った牛スジ肉とコンニャクを韓国風に仕上げた「すじこん飯」がおすすめ。キンキンに冷えたきめ細やかな泡のビールに、美味しいラーメン。これ以上ない、夏の至福な一時を満喫してほしい。