第7回:豆でっぽう(天王台)

手作りの温もりを感じながら味わう優しい味噌ラーメン

ノには「温度」がある。それは温度計などで測ることが出来る温度ではなく、心で感じることが出来る温度。例えて言うなら、セントラルキッチンで機械的に作られ運ばれたコンビニに並ぶおにぎりと、お母さんが愛情こめて握ってくれたおむすびとどちらが温かいか、という話である。

 元来「モノ」は使う人、食べる人を意識して生み出されるものである。お母さんの作るおむすびは、自分のことを考えながら握られたものだから温かい。ラーメンも然り、カウンターに座った客の顔を見て、その人のために作る一杯だからこそ、心のこもった温かさがあるのだ。アルバイトが仕事と割り切って作るラーメンと較べれば、その温かさは想像に難くない。

 我孫子に出来た「豆でっぽう」は、まさにその「温もり」であふれているラーメン店。店内は間接照明なども使われて、今風のお洒落な空間に仕上がっているが、中でも目を引くのが不揃いの椅子たち。これは木の形を活かして職人さんがていねいに手作りしたもの。画一的な工業製品では出せない「味」のある椅子に座ると、その職人さんの、作り手の思いがひしひしと伝わってくる。

 ラーメンを入れる丼も一つ一つが個性的で、やさしい表情を持っている。これらの丼は美術大学に通う陶芸家の卵たちが、美味しいラーメンを食べて欲しいと思いながら作ったオリジナル。工場で機械的に生み出されていくモノと違って、この店にあるもの一つ一つが作り手の気持ちがこもったものばかりなのだ。

 そしてこの店の味噌らーめんも然り。むちっとした食感が心地よい太麺は、店で毎日打たれた自家製麺。豚と鶏をベースに使ったスープは、若い人から年輩のお客さんまでを意識した配合で、やさしくまるい口当たり。数種の味噌をブレンドした自家製味噌ダレが味に深みとキレを加えている。

 手作りだから生まれる温度。豆でっぽうは、そんな目には見えない「温もり」で包まれている店なのだ。