第12回:和風鰻麺八幡屋(ちはら台) |
|
市原の老舗うなぎ店が本気で取り組んだ新感覚「鰻系」ラーメン 鰻屋さんがラーメン店を作ったと聞いた時に、正直なところあまり期待はしていなかった。異業種の飲食店が「余興」としてラーメンを作るケースは多々あれど、たいていがラーメン作りを軽く考えていて、そのラーメンを食べると失望することが多いからだ。しかし本店からこの店を任されている若き店主は、本気で今までにないラーメン作りに挑んでいる。 本店の跡取り息子でもある若き店主は、別館を任された時に本店とは違うメニューを出したいと考えた。居酒屋的に利用されていた別館で、最初は「飲んだ締めにラーメンでも出すか」といった軽いノリでラーメン作りに着手したのだという。もちろんその時はラーメン初心者。しかし作っていくうちにラーメンの奥深さに触れてはまっていって、気がつけば独自の味にたどり着くまでに1年を要したのだという。 その独創的な味わいの決め手となるのは「鰻の頭」。関東では捨てられてしまうことが多い鰻の頭だが、関西では「半助」と呼ばれ、奥深いダシが出ることから鍋などにもなる立派な食材。関東では鰻を焼く前段階で頭を取ってしまうのに対し、関西では頭をつけたまま金串を打って焼く手法の違いから、関東ではこの鰻の頭が珍しい食材になっているのである。店主は本店で大量に捨てられてしまっているこの「半助」に目をつけた。そもそも鰻は疲労回復や老化防止に効果があるとされる栄養素がいっぱい入った食材。その鰻の頭をていねいに血抜きして、それをオーブンで焼いたものをスープの寸胴に加えた新感覚スープが完成した。 鶏ガラとモミジ(鶏の手)のベースにカツオ節、宗田節、サバ節などの魚介系素材を加えた濃厚スープは、しっかりとした重さを持ちつつも、あっさりとしたキレも併せ持っている。そこに鰻が加わることでよりうま味が複雑に重なり合ったスープになった。また鰻に含まれるビタミンEやEPA、DHAといった様々な栄養素が豊富に入った「健康にいいラーメン」というのも新しいアプローチだ。 独学で取り組んでいるという自家製の麺は、そのスープの完成度に較べるとまだまだ発展途上の感は否めないが「麺もスープも自分で作ってこそラーメン屋」という考えで日々麺の改良を重ねているというから今後の麺の進化にも期待したい。鰻店が本気でラーメンに挑戦している一杯は、まさに今千葉で必食の一杯だ。 |
