第21回:中華そば奥村屋(新柏)

50年代が香る一軒家で「伝説」のラーメンが再び作られる瞬間

村屋という名前は、千葉のみならず関東のラーメンフリークならば誰もが知っている名前である。今から5年前の2000年6月、松戸に開業した奥村屋は、今でこそ千葉でも多く目にするようになった、動物系白濁スープと魚介系和ダシのWスープで一躍注目を集めた店で、県外からもファンが押し寄せるほどの人気があった店である。

 しかしその忙しさによって、店主奥村氏の持病が再発し、厨房で倒れてからというもの、お店は休みがちになり、昨年6月に惜しまれつつも閉店を余儀なくされてしまった。その後一年近くの闘病生活を送り、病気を克服した奥村氏は、自宅のリビングを開放して奥村屋を再開することを決意した。場所は新柏から徒歩10分弱の閑静な住宅街の一角にある洋風の住宅。そこが新・奥村屋の「店舗」である。その玄関に掲げられた真っ白な暖簾は、松戸時代に掲げられていたもの。いつか奥村屋を再開させたいと大切に取ってあった暖簾なのだ。

 およそ1年振りに登場した奥村屋のラーメンは、トンコツや地鶏のしっかりしたうま味をたくわえながら、カニなどのキレのある魚介ダシが見事に融合し、今まで以上にうま味の層を持った深い味わいになった。そして今回の再開を機に、奥村氏は念願の自家製麺に切り替えた。ラーメンとしてはかなり太めの平打ち麺はしっかりとした食感を持ち、自慢のスープをていねいに拾ってくる。麺を打ち始めて数ヶ月でこのレベルなのだから、今後のスキルアップでさらにすごい麺になるだろう。

 奥村氏が好む50年代のテイストがあちこちに散りばめられた「おもちゃ箱」のような自宅のリビングで味わう「復活のラーメン」。これも新しい千葉のラーメンスタイルだ。