山路力也

フードジャーナリスト
ラーメン評論家/かき氷評論家
コラムニスト/ミュージシャン

「作り手の顔が見える料理」を愛し、
「その料理が美味しい理由」を考えています。

【主な著作】
「トーキョーノスタルジックラーメン」(幹書房)/「ラーメンマップ千葉シリーズ」(幹書房)/「ワナドゥ!!手帳 ラーメン」(ロフト)/「ラーメンWalker千葉」(角川マーケティング)/「千葉ラーメン最強の222軒」(角川書店)/「千葉拉麺案内」(角川書店)/「休日のごちそう食堂千葉(共著)」(幹書房)/他

【連載・レギュラー

記事一覧(171)

【新店】麺屋ことぶき ユニモちはら台店@ちはら台「黒熟成醤油らーめん」650円

 ちはら台のSC「ユニモちはら台」2Fフードコートに、2018年11月オープンした新店。本店は葭川公園に2016年オープンした鶏白湯ラーメン店で、ここが2号店となる。千葉みなとの鶏料理店「炭火焼寿」のラーメン業態ということになるのかな。しかし、本店の主力メニューである鶏白湯はなく、竹岡式風の醤油ラーメンと清湯塩ラーメンの2種類がメニューに並ぶ。フードコートであるし、出しやすいパッケージにするのは当然だろうが、いずれ鶏白湯なども投入すると予想する。 「竹岡風本格熟成スープ」というのがちょっと何言ってるんだか分からないのだけれど、多分に熟成というのは下総醤油の熟成醤油を使っているという意味なのかな。確か本店でも醤油はちば醤油を使っていたと記憶する。もちろんベースはお湯である。麺はストレートの生麺で、刻みタマネギはスープを覆うくらいには浮いている。チャーシューはしっかりと味が染みたもの。竹岡式の房総醤油ラーメンとしてごくごく一般的な味わいで、そもそも美味い不味いをどうこう言うラーメンではない。 しかしひとつだけ気になるところを指摘するならば、生麺使って茹でているなら、スープに使うお湯に茹で湯は使わない方がいいだろう。茹で湯は鹹水が溶出していて身体に良いとは言えないので、白湯を使うことをお勧めしたい。

千葉拉麺通信19周年

 お陰様で「千葉拉麺通信」は19周年を迎える事が出来ました。これも日々アクセスいただいているユーザーの皆さんと、千葉のラーメン店の皆さんのお陰です。ありがとうございます。 千葉初の千葉専門ラーメン情報サイトとして、2000年2月17日に開設されたこのサイト。インターネット黎明期であった1990年代後半、数あるラーメンサイトの中で、千葉の情報を専門的に扱ったものが無かったことから、千葉ラーメン情報のパイオニアになるべく千葉のラーメン情報だけを発信するサイトとして開設致しました。 千葉のラーメン界を盛り上げるべく、さらに千葉のラーメン好きの人たちが集い、千葉のラーメン店を営む人たちとも交流が出来る場所となるべく、多くのユーザーからの投稿を掲載するラーメンサイトを目指しました。またいち早くラーメンイベントを開催したり、店主間のコラボレーションを企画したり、カップラーメンやプロデュース店舗を手掛けるなど、それまでのラーメンサイトとは異なる様々な企画も立ち上げて、千葉のラーメン界を盛り上げる活動を続けて来ました。その結果、19年間で累計3,000万超アクセス、2億PVを超える、個人運営としては日本一の規模を誇るラーメンサイトになりました。 2016年秋には、新たに千葉ラーメン情報を発信するウェブメディアとして、全面リニューアル致しました。これからも千葉のラーメン好きの方たちや、千葉のラーメン店を営む方たちと共に、千葉のラーメン界を盛り上げて参ります。今後とも千葉拉麺通信を宜しくお願い致します。2019年2月17日千葉拉麺通信 主宰山路力也(Ricky)

麺処まるわ@作草部「作草部式焼きラーメン すっぴんカレー」850円<限定>

 その創業は2008年と、十年以上にわたり人気を集めている実力店。今の時代、十年お店を続けていくということは大変なこと。そんな中で今も地元に密着した営業スタイルで、変わらぬ人気を守り続けているのは素晴らしいことだ。 レギュラーメニュー同様に限定メニューのクオリティが高いのもこの店の特徴。様々なアイディアを具現化しているのは、現店長である庄野氏の力量が大きい。今回のメニューは私も責任編集に名を連ねているウェブマガジン『ラーマガ』の限定ラーメン企画の一品。「NAKED」と名付けられた企画の趣旨は、麺とスープだけの「かけラーメン」であるということ。その縛りの中で庄野さんが挑んだのはカレーラーメンだった。 まるわが位置する作草部や西千葉のエリアは、千葉大学をはじめ多くの学校がある文教地区。学生が好きなカレーライスだが、近年カレーの専門店などが閉店したりと、食べる場所が少なくなっているという。そういう背景でこの街にカレーラーメンを根付かせたいというのが、店長の庄野勇さんの思い。 「作草部式焼きラーメン」という名前は、調味料やスープ、そして麺も含めて鍋で焼きながら仕上げていくことから。ある種、タンメンや札幌味噌ラーメンの製法にも近いスタイルとなっている。ベースとなるスープは豚骨で、そこに味噌、カレー粉、小麦粉と生姜やバターを入れて鍋の中でカレースープを作る。隠し味となるのは自家製のトマトパウダー。トマトの酸味は前に出ずに旨味だけを加えたような、まさに隠し味となっている。表面に掛け回されたオリジナルのソースは魚介と辛味をプラスする味変的なアイテム。これらの要素がどれも突出することなくバランスよく配されているので、最後まで飽きずに楽しむことが出来る。 具がないということをまったく意識させず、最後まで一気に食べ切らせてしまう美味しさがあるカレーかけラーメン。残ったスープに白飯を入れてフィニッシュしたくなる。新しいけれど懐かしさをどこか感じさせる力作だ。

まるえいラーメン@成東「ラーメン」600円

 毎年ラーメンの食べ始めは地元である千葉県で、と決めている。しかし、どこに行くかはその年の流れ次第。たまたま成東へいちご狩りに行ったので、久々にこちらを訪ねてみた。国道126号沿いで長年愛されている豚骨ラーメン店。2019年の初ラーメンは、まるえいラーメンである。 お店に来るのは久し振りになるが、店主の栄さんとは数週間ぶりの再会。現在、栄さんは故郷である福岡で焼肉とラーメンの店「フタバ」を営んでおり、福岡では栄さんの焼肉もラーメンも何度も頂いている。ちなみに福岡ではなんとイレブンたなか直伝のイレブンフーズスタイルのラーメンを出している。福岡では関東で出会ったラーメンを作り、千葉では故郷福岡の豚骨ラーメンを作っているのは面白い。 まるえいラーメンと言えば、千葉の豚骨ラーメン店の中でも嚆矢的存在である。恐らく千葉で「長浜ラーメン」と最初に謳った店ではないだろうか。店主の栄さんは福岡の出身で、一世を風靡した人気店「なんでんかんでん」で経験を積んだ人物。千葉で20年近くにわたり真っ直ぐな長浜豚骨ラーメンを作り続けている。 骨感と油感の程よいバランスのスープに、本場福岡から取り寄せた低加水細ストレート麺。青ネギや海苔など、一部ローカライズされている部分はあるが、根幹は紛う事のない福岡の豚骨ラーメン。しっかりとラードも浮いていて、長浜スタイルを踏襲している。一口食べれば、実直な味わいと隙のない完成度が伝わってくる。長年愛されているのが分かる良質な豚骨ラーメンだ。これなら福岡で出しても喜ばれそう。そして千葉でもイレブンフーズを出して欲しい。

【新店】長男、もんたいちお@京成八幡「つけ麺」850円

 2018年11月、京成八幡にオープンした新店へ。ここはラーメン店がコロコロ入れ替わる場所。とは言っても麺屋黒船→光そばの時代はかなり長かった。その後が大勝軒おはこ、祥竜と回転が早かった。亀有の人気店「つけ麺道」出身ということもあってか、かなりいいスタートダッシュが出来た模様。今日も常に外待ちが出来る人気ぶり。 メニューはつけ麺のみで、ラーメンは置かないという潔さに好感が持てる。オープン間もなくでオペレーションの問題かも知れないが。つけダレはとろっとした口当たりの濃厚豚骨魚介系。甘辛酸でいうところの甘甘酸的なバランスになっている。田代グループの流れを汲んでいるからか、しっかりとレンジアップされているので超熱々。 麺は開化楼の太ストレート麺。これでも頑張って茹でたのだろうけれど、まだ茹で時間が足りないんじゃないかしら。もっと茹でてもいい気がするが。具は低温調理のチャーシューに鶏チャーシュー、珍しいのが白菜。低温調理チャーシューはやや火が通りきっていなかったので、熱々のつけダレに沈めて自衛する。 面白いのは「その日のきまぐれ薬味」がついてくること。この日はネギとカレーパウダー。何に入れてもその味を支配する無敵のカレーパウダーだが、このつけダレはかなり濃厚で、カレーパウダーにも負けていなかった。 すでにリピーターも多くいる様子。接客などもきめ細やで、これからさらに人気が出そうな予感がする。行くなら早めがいいかも。

【新店】麺屋一男@千葉中央「男そば」750円

 2018年10月、千葉中央駅近くの繁華街、富士見にオープンした新店。新規オープンというよりも、大黒屋本舗のリニューアルと言った方が良いだろうか。千葉の大黒屋本舗は茨城を拠点とする田代グループではなく、増田家グループの経営だったのだけど、現在はトミナガフードサービスなる会社の経営に。千葉大勝軒も増田さんグループでは無くなったようだし、切り分けているのかも知れない。 「男そば」はいわゆる二郎インスパイアのガッツリ系ラーメン。バリエーションとして辛いものや塩味もある。また「女そば」は麺と野菜の量が少ないもののようだ。甘醤油背脂スープに太ストレート麺、そしてモヤシどっさり。 かつて大黒屋本舗がラーメン二郎を激しくデフォルメした事で、良くも悪くも二郎インスパイア系やガッツリ系のデフォルメが過剰になっていって、結果として二郎とはまったく異なるものになっていったわけだが、これはこれでひとつのガッツリ系ラーメンとして完成の域に達していると思う。 ラーメンに求められる役割は色々あり、それは作り手の想いや食べ手の想いでどうとでも変わる。このラーメンは一杯でお腹いっぱいに満たしたい、満たされたいという目的にしっかりと沿っており、特に夜遅い時間帯に無性に欲したくなるラーメンだったりする。屋号は変わってもその志は変わらず。きっと多くのニーズに応える店になっていく事だろう。

らぁ麺ひなた@姉ケ崎「らぁ麺(黒だし)」680円

 2015年にオープンした、「食の道場」出身の店主の店にようやくの訪問。場所は姉崎高校の正面。姉ケ崎高校ではなくて姉崎高校。地名も含めて正しくは「姉崎(あねさき)」。国鉄が駅名に「姉ケ崎(あねがさき)」なんてつけるからややこしくなっているが、ここは姉崎が正しい。 メニューは大きく分けて清湯、白湯の二種で、清湯には黒だし、白だし、熟成しょうゆがあり、白湯には濃厚鶏ぱいたん(しょうゆ)とホワイトクリーミーぱいたん(うま塩)がある。どれにもワンタン麺というオプションがある。まぁこの並びで初訪ならば、やはり清湯の黒だしをオーダーすることになる。 魚節が強く感じられる魚介系スープに、やや竹岡式を想起させる醤油感。薬味のタマネギも含めて房総のラーメンをベースに新たな魚介系ラーメンに仕上げたような。醤油の深いコクと香りを感じさせるが、醤油角や塩味も強く出過ぎることなく、じんわりと優しいスープになっている。麺は三河屋製麺だろうか、歯切れの良い麺をしっかり茹で切っている。具材ではメンマの味付けが甘めで美味しかった。 女性店主の温かみある接客と店の佇まいがホッとする。強烈な印象を残すようなラーメンではないが、誠実に丁寧に作られているのが伝わる一杯。遠方からわざわざ行くほどの吸引力はないが、近くに来られた方や地元の方には自信をもってお勧めしたい、そんな佳店だと思う。少なくとも私はまた足を運んでみたいと思っている。