千葉でいち早く白河ラーメンを提供した「白河ラーメンみちのく」が11月末をもって閉店する。いつも閉店の知らせを聞いて思うのは、もっとたくさん来ていれば良かったということ。しかし、だからと言って閉店すると聞いて駆け付けることで、本来この店に来るべき常連さん達にご迷惑をかけるのもと、いつも悩んでしまう。
とはいえ店主の鶴岡さんとは長いお付き合いになるし、お手紙を頂いたりいつも気にかけて頂いていた事もあって、やはり閉店前に御礼を言いに行かねばと思い馳せ参じた。土曜日の夜ということで、きっと満席なのだろうと思ってお邪魔したら、ちょうど前客が出て来るところでタイミング良くスッと入れた。しかし後から次々と地元のお客さんがまたやって来る。
店に入ると厨房から顔を覗かせた鶴岡さんが「わざわざ来てくれてありがとうございます!」と満面の笑みで迎えてくれた。そして二人三脚の木村さんも「遠いところありがとうございます!」そう、しばらく間が開いていてもこの店はいつも変わらずに温かく迎えてくれるのだ。そしてそれは常連さんや一見客の分け隔てなく。
前に来た時よりもメニューが若干増えているように見えるが、まずは基本メニューの「白河ラーメン」を食べなければなるまい。白河出身の鶴岡さんが子供の頃から慣れ親しんだ「とら食堂」で修業を重ねて教わったラーメン。化学調味料を一切使わないスープは、スッキリしつつも程よく油も浮き、水のように身体に染み渡る。白河の製麺所から送られてくる手揉み麺は、加水率も高くみずみずしさがあり踊るような食感も楽しい。とら食堂直伝の炭で焼いたチャーシューも肉の旨味をしっかりと蓄えたもので、現在の主流である脂身が入った柔らかなバラチャーシューとは異なる。厚めに切られたナルトに鶴岡さんの優しさを感じる。
立場上、特定の店舗に肩入れする事なく情報を発信するよう努めて来たが、やっぱりこの店がなくなるのは寂しいな。しかしお店を閉めるという事は、相当の決断や覚悟があってのこと。それを部外者がとやかく言うことは野暮であるし、その理由を根掘り葉掘り聞くのもどうかと思う。ただお店に行ってラーメンを食べて、長い間ありがとうございました、ご馳走様でした、と伝えるだけで良いのだと思う。
【閉店】白河ラーメンみちのく
木更津市清見台東2-2-1
11:00〜14:00,17:00〜20:00/日祝11:00〜20:00
木曜・第3水曜定休
JR線「祗園」駅より徒歩12分
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