珍來 鎌取店(鎌取)

 「冷やし中華が嫌いである」と公言して何年にもなるが、その言葉が独り歩きしている節があり、正確に真意が伝わっていない気がしてならない。その論拠となるコラムはこちらを参照して頂くとして、ザックリ言えば惰性で作られている、ポリシーの無い冷やし中華が嫌いだ、という事である。そして、冷やし中華を否定しているからこそ、時折確認のために冷やし中華を食べに行く。今回もそんな理由での訪問だ。

 これぞ王道、これぞ「ザ・冷やし中華」である。メニューにも「定番の甘酢醤油味」との記載が。胡麻だれ味などが跋扈する昨今であるが、冷やし中華を名乗るなら甘酢醤油味で無ければならない。かの山岸一雄翁がつけ麺のつけダレの味を考える時に、冷やし中華のタレをヒントにしたのは有名な話だ。
 甘さと酸味、そして醤油味、さらに欲を言えば動物系や魚介系に由来する旨味が加わると良いのだが、残念ながらこちらのタレは素材感には乏しいものであった。ただし、器や麺にタレなどをしっかり冷やしているのは好感が持てた。具材でチャーシューとハムが両方乗っているのは珍しいのではないか。この値段でクラゲが乗っているのも偉いと思う。
 この冷やし中華でつくづく残念なのは麺。一般的な中華麺を使っているのだが、なぜ珍來ならではの手打ち麺を使わなかったのか。あの太い食感のある珍來麺を使った冷やし中華なら、かなり印象が異なって来ると思うのだが。実に残念でならない。

珍來 鎌取店
千葉市緑区おゆみ野2-8-7

11:00~22:00
無休
JR線「鎌取」駅より徒歩3分

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