創業して39年、今月28日で惜しまれつつ閉店する名店へ最後のお別れに。店内は常にお客さんでいっぱい。真新しい黒いTシャツ姿の根本さん。常連さんと談笑しながら、時にタバコをくゆらせながらラーメンを作っている。額や腕には滴るほどの汗。この店には冷房など気の利いたモノはない。扇風機の優しい風が身体の火照りを和らげ、屋根の上にはスプリンクラーが置かれて、店全体がシャワーで冷やされている。時々心地よい風が入り込む窓には蚊取り線香がぶら下げられて。かつて私達が過ごした、昭和の夏の情景が切り取られたかのようだ。
こちらはいわゆる「ラーメンショップ」。20年程前は日本一売れたラーメンショップとして知られ、地元では「51号のラーメン屋」などと言われている人気店。その別れを惜しむお客さんが次々とやって来ては「長い間ご馳走様でした」と言い、根本さんも「長い間ありがとうございました」と挨拶している。
私が最後にこの店に来たのは、もう十年以上前になるだろうか。新しいラーメン店を追いかける事が常になっていると、どうしても老舗に足を運ぶ事は少なくなる。いつまでも在ると思っていた店の閉店の知らせを聞き、慌てて最後の一杯を頂きに駆け付ける。仕方がない事だとは思っているが、別れを惜しむ常連客の中で一人居ると、なんとも言えない疎外感や孤独感、寂寥感を感じる。
ラーショ系の中でもかなり調味がおとなしいスープ。油分はしっかり蓄えつつも、しつこさはほとんど無い。ネギの味付けも他のラーショよりおとなしく甘味も控えめで大人の味付け。中細の多加水麺は平ざるでやや柔らかめに茹で上げてあり、スープとも良く馴染んでいる。
根本さんに「ありがとうございました」と御礼を言って、少し後ろ髪を引かれる思いで駐車場へ。店の前にはまた次々とお客さんが集まって来ていた。39年間お疲れ様でした。そして長い間美味しいラーメンをありがとうございました。
【閉店】ラーメンねもと
四街道市中台606-2
10:00〜18:00
月火定休(8/28で閉店)
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