【閉店】さんまらーめん鈴木さん(京成大久保)

 京成大久保は学生の街だ。日大生産工キャンパスや東邦大キャンパス、東邦大附属中高などが駅の北側に並んで建っており、駅とキャンパスに挟まれた500m四方のエリアは、居酒屋などを中心に飲食店が多くひしめきあう。そこにはラーメン店も数多く存在し、その大半はいわゆるガッツリ系で「ラーメン二郎」「ラーメン大」「角ふじ」が揃い踏みし、他にも「どろそば屋ひろし」「肉そばゴッド」「大久保家」などもある、県内でも有数のガッツリこってりエリアだ。
 そんな京成大久保に8月2日オープンした新店は、津田沼の人気店「魚骨らーめん鈴木さん」の2号店。今年6周年を迎えた鈴木さんがついに初の支店をオープンする事になった。元は生花店だったという場所を全面改装した店は、変則的なコの字カウンターが10数席。オープンして間もない事もあるのだろうが、店主の鈴木さんと2人のスタッフが厨房にいた。
 本店で人気だった秋刀魚のラーメンなどをフィーチャーし、スピンオフさせたメニュー構成。店が推すメニューのオススメは「鈴木さんままぜそば」780円なのだが、私的には複数メニューがある場合、ラーメン(つけ麺店の場合はつけ麺)を初訪時には食べるようにしているので「鈴木さんまらーめん」750円をオーダーした。
 出て来たラーメンの見た目は醤油感が強目のクリアな清湯醤油ラーメンで、どことなく竹岡式ラーメンを想起させるようなビジュアル。スープは鶏豚がメインで秋刀魚は使われていない。では何故さんまラーメンなのかと言えば、煮た秋刀魚をほぐしたものが海苔の上にたっぷり乗っているからだ。その量はほぼ秋刀魚一匹分。しっかりと柔らかく煮た物をほぐしてある。
 食べ始めはスッキリとした醤油ラーメンを楽しみながら、時々秋刀魚のほぐし身を摘むように。海苔の上に乗せられているので、スープに溶け出すことはまずない。そして自分の頃合いでその身を大胆に清湯スープに混ぜ合わせると、一気にスープが激変する。スープに身が入るので飲んでいても楽しいし、浅草開化楼の細麺にも秋刀魚の身がまとわりつく。さらにほぐし身に秋刀魚の油分もあるので、スープの旨味はもちろん粘度も上がり、乳化したような半濁のスープに変わる。また卓上に置かれた練りわさびを適量溶かせば、今までとは違った表情を見せてくれる。
 「どんどん味が深く変わっていって、気がついたら食べ終わっていた、という一杯を作りたかった」と語る鈴木さん。悔しいかなその狙い通りに一気に完食。このラーメンは食べていてとにかく楽しい。客を楽しませよう、喜んでもらおうという作り手の思いが、丼からビンビン伝わってくるのだ。そして、奇をてらったようでいて、その味は前衛的でもキワモノでもなく、ちゃんと美味しいラーメンに落とし込まれている。お見事、の一杯だ。

さんまらーめん鈴木さん
習志野市大久保4-2-9
11:00〜15:00,17:00〜22:00
不定休
京成線「京成大久保」駅より徒歩8分

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