二九八家 いわせ(本八幡)

 千葉を代表する老舗人気店「ニューラーメンショップいわせ」が、惜しまれつつも39年の歴史に幕を下ろした。そして3月22日、装いも新たに「二九八家 いわせ」となってリニューアルオープンと相成った。店主の岩瀬さんはいわせ店主の息子さん。元々はいわせで働いていたが、自分の代になった時に自分の店以外も知っておく必要があると、今から十年前に「麺屋武蔵」の門を叩いた。当初はもっと短い修業のつもりでいたが、武蔵の仕事に熱中し十年間。本店の番頭まで勤め上げて堂々の凱旋帰還である。

 今までの店とは違う味、違う屋号で自分の店をやりたいという話を聞いた時、正直実に勿体ないことだなぁと思った。というのもいわせは街道随一の人気店で、今もなお多くのファンがついている店だ。その店をわざわざ閉めることはない。いわせはそのまま受け継いで、限定ラーメンを出すとか、あるいは別の場所に自分の店を出すとか、いくらでもオプションがあるのではないかと思っていた。しかし岩瀬さんは新しい歴史を紡ぐ決意をした。お父様がそうやってゼロから初めて人気店を作ったのだから、自分もゼロからやってみたいというのは当然のことなのかもしれない。

 岩瀬さんとはいわせ時代はほぼ面識がなかったが、麺屋武蔵で何度も顔を合わせている間柄。オープンしてから1ヶ月近く経っての訪問だっただけに「山路さんいつ来てくれるのかなとずっと待ってました」と言われてしまった。何しろオープン日のタイミングから怒涛の出張ラッシュだったのでいやもう申し訳ない。やっと顔を見られて良かった。その出で立ちや店の内装やメニューのデザインなど、武蔵のイメージがそのままあるのに、場所はあのいわせという、なんとも不思議な感覚だ。

 「二九八家ら〜麺」は自慢の具材が乗ったオールスターの一杯で、この構成は武蔵譲り。優しく甘みのある背脂豚骨スープにキリっとした醤油ダレ。このスープはいわせとも武蔵とも違うが、いわせのようでもあるし武蔵的でもある。乳化したスープの甘さと醤油の味わいが相まって、これはなかなかクセになる味わいだ。麺はカネジン食品に特注した平打ち麺で、みっちりとした密度の高いもの。ラーメンにもつけ麺にも使うとなるとこういう麺が最適だろう。丼や盛りつけ含めてビジュアルはまさに武蔵だが、いわせならではの辛ネギが乗っているのが感涙もの。ラーショの辛ネギは本部のタレを使っているが、こちらはもちろんオリジナルでラーショ時代の味をイメージしているのだそう。ほぼそのイメージは踏襲出来ていると思う。

 39年千葉の人たちに愛されてきたいわせが次のステージへ。自分の味で勝負したいという心意気や良し。これまでのファンにも理解して貰え、末永く愛される店になって欲しいと祈る。


二九八家 いわせ
市川市大和田3-23-11

9:00〜19:00/土日祝9:00〜20:00

月曜定休

JR線・東京メトロ線「本八幡」駅より徒歩12分

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