麺処せんり(稲毛)

 2021年11月、新港のMr.Max千葉美浜店内にオープンした『麺処せんり』が、2023年2月に稲毛駅前の路面店として移転リニューアル。以前は人気の少ないフードコートの業態だったが、立地的にも環境的にも前の店舗よりも遥かに良い店舗になったと思う。
 こちらは『博多一風堂千葉店』を運営する『千里』のオリジナルブランド。店主の緒垣さんは長年一風堂に在籍して独立した「暖簾分け店主」。現在は一風堂千葉店や武石インター店の他にフードトラックを稼働させたり、自家製麺にも着手するなど精力的に活動している。
 新しい店舗はテーブル席がメインで、家族連れ客などが使いやすそうなレイアウト。壁面に英文が書かれていたりと、デザインなどが一風堂っぽい作りになっている。券売機も最新式のものが導入されており使いやすそう。
 メニューは元々一風堂千葉店オリジナルメニューである「千葉BLACK」「千葉RED」と、一風堂の限定メニューだった「博多ZERO」に、新たにオリジナルの「千葉GOLD」を加えた4種類。千葉BLACKは竹岡式、千葉REDは勝浦タンタンメン、博多ZEROはライトな博多ラーメン、千葉GOLDは水郷どりを使った塩ラーメンと、「千産千消」「ご当地ラーメン」を掲げたメニューになっている。
 新作の千葉GOLDは塩ラーメン。他のメニューはノーマルから全部乗せまであるが、こちらは数量限定で全部乗せのみ。スープは香取の水郷どりをベースに貝の旨味を合わせたもので、サラッとした口あたり。良く言えば優しい、悪く言えば弱い。個人的にはもっと鶏の旨味や香りを感じたかった。中細麺は自家製なのかは不明だが、スープとの相性も良く啜り心地も良い麺。2種類のチャーシューはチバザポークと水郷どり。袖ヶ浦金田海苔も乗せて、黄身が程良い食感の味玉にはGOLDの焼印が押されている。
 博多ZEROは一風堂で限定メニューとして時折提供される「元祖博多ラーメン零」をベースにしたもの。いわゆるシャバトンスープに軽く背脂が浮き、自家製の博多麺を合わせている。今回はスペシャル版の「特製博多ZERO」にしたが、金田海苔と燻製したチャーシューが風味や味わいの良いアクセントになっていた。
 ベテランならではの上手にまとめた一杯という印象で、「千産千消」をコンセプトにして、千葉県産食材を積極的に使う姿勢にも好感が持てる。それは新たにオリジナルの塩ラーメンを加えたことでより強くなった。だからこそ、良くも悪くも「博多ZERO」の存在が浮いてしまう。そこにはもちろん一風堂の文脈があるわけだが、そのバックストーリーを知らない客は不思議に感じるだろう。そのあたりのストーリーはもっと訴求しても良いかもしれない。
 一風堂の暖簾分け店主で複数店舗やオリジナルブランドを持っている人はそれほど多くはないので、緒垣さんには是非とも千葉一風堂の大将としてこれからも頑張って頂きたいなと思う。自家製麺も始めたことだし、千葉色を出したオリジナルのつけ麺なども食べてみたいな。

麺処せんり
千葉市稲毛区小仲台2-6-7
11:00〜15:00,17:00〜22:00(LO21:30)
水曜定休
JR総武線「稲毛」駅より徒歩2分


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