千葉市中央区富士見。JR千葉駅と京成千葉中央駅に挟まれた一帯は、かつて国鉄千葉駅があったこともあり、古くから多くの飲食店が立ち並んでいる場所。今も入れ替わり立ち替わり様々な業態の店が軒を連ねているが、クラブやキャバクラ、スナックなども多く、夜の街というイメージがある。
そんな富士見エリアの一角に2024年2月オープンしたラーメン店は、寿司店『鮨割烹こばやし』が手掛ける新業態。鮨割烹の店の斜向かい、かつて『大黒屋本舗』や『麺屋一男』があった物件の跡地になる。カウンターや調度品の設えなど、ラーメン店というよりもそれこそ寿司屋か和食屋のような雰囲気の店内になっている。
メニューは「中華そば」の醤油と塩の2本立て。オープン当初は醤油のみの提供だったようだが、塩も加わった。初訪なのでシンプルな「中華そば」にしようかとも思ったが、チャーシューやワンタンも自慢のようなので、チャーシューが増えて奥久慈の味玉やワンタンも加わるという「特製中華そば」を注文。
若い店長は清潔感もあり物腰の柔らかい接客。ラーメン店採用というよりも寿司店での経験がある人なのかな。アイドルタイムを外して訪問したからか、客数は少ない中をワンオペで回している。オープンして1ヶ月少ししか経っていないが、オペレーションなどの不安定さもなく落ち着いているのは立派なもの。
「特製中華そば」。語弊を恐れず一言で言うのなら、丁寧に作った「竹岡式ラーメン」。確認していないので想像でしかないが、ベースのスープはお湯もしくはかなり軽めの鶏清湯で、チャーシューを煮たカエシと良質な鶏油で味と香りを引っ張る設計。チャーシューもオーブンやスチコンで仕上げてあるのか香ばしさがあり、カエシにもその旨味が生かされている。化学調味料も使っていないので、ある意味で軽い仕上がりにはなっているが、カエシのあたりが強いので物足りなさはない。
麺は北海道産「きたほなみ」100%という細ストレート麺。しっかりと茹できっていてスープとの相性も良い。香ばしいチャーシューは2種類。ワンタンは肉ワンタンで肉餡が少なく皮を広く使っているもの。ワンタンは皮の食感を楽しむものなので、肉ワンタンならこのバランスが最適解だと個人的には思う。ネギは玉ねぎのみじん切りと長ネギ。この玉ねぎの風味と食感がより竹岡式らしさを感じさせる。
スープにウェイトを置かずにタレと油で組み立てる構成は、スープに対して売価に見合わぬ手間暇やコストをかける現代のラーメンに対する、料理人としてのアンチテーゼなのだろうか。ある意味で千葉らしいというか、なかなか面白いアプローチのラーメンだった。塩味はどんな設計でくるのかも興味深いので、また近いうちに再訪してみたい。
こばやし 中華そば
千葉市中央区富士見2-16-26
11:00~15:00,17:00〜24:00(売り切れで終了)/日11:00~16:00
月曜定休
京成線「千葉中央」千葉都市モノレール線「葭川公園」各駅より徒歩3分
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