千葉市の繁華街、富士見エリアの一角に2024年2月オープンしたラーメン店は、寿司店『鮨割烹こばやし』が手掛ける新業態。開業1周年記念の期間限定メニュー狙いで久々の訪問。限定の「黒トリュフと大粒帆立」は、価格が一杯2,000円と、かなり安くてビックリしましたが、聞けば完全に原価割れとのこと。
ラーメンが出てくる前にまず味変アイテムが登場。大きな帆立の貝殻の中には昆布締めした生の帆立と醤油で煮た貝紐、そしてトリュフバター。目の前でその上に黒トリュフを削りかけることで香りを引き立てる。トリュフの香りを楽しんでいるうちに、黄金色のスープの塩ラーメンが出される。
鶏と豚のしっかりとした旨味を持つスープベースに、帆立で取った出汁をブレンドしたダブルスープ。そこにキラキラとした鶏油が浮かぶ。このスープが様々な旨味を蓄えていて、香りも豊かで立体的な味わいになっている。北海道産小麦「きたほなみ」100%の細麺はしっかりと茹できって、麺のポテンシャルを十二分に引き出している。
具材はしっとりと柔らかなチャーシューに、ワンタン、味玉。丁寧に調理されたことが伝わるものばかり。このラーメンだけで十分成立しており、物足りなさは全くないハイレベルな塩ラーメンになっているが、そこにブーストをかけるがごとく、味変のアイテムを投入していくこととなる。
全部を大胆にラーメンに入れれば、一気に旨味と香りが弾けてラーメンがパワーアップ。実はこの味変アイテム、入れる前から大切な役割を担っている。削りたての黒トリュフの香りが、ラーメンを食べている間も漂ってくるのだ。これによって、トリュフを入れていないのにもかかわらず、トリュフの香りを感じながらラーメンを食べることになる。この香りの使い方はなかなか他では体験出来ないだろう。
バターと塩ラーメンの相性の良さは言うまでもなく、やはりポイントになるのは帆立。昆布締めした帆立はそのまま食べても美味しいし、スープで少し熱が入った状態でも美味しい。醤油で煮た貝紐は塩ラーメンに新たな味と食感のアクセントを与えて飽きさせない。新鮮な大粒の帆立を贅沢に使い、しっかりと調理して提供するのはラーメン専門店には出来ないアドバンテージだ。
料理としての風格を持った、料理人としての矜持を感じさせる塩ラーメン。これが一杯2,000円というのはやはり安過ぎるな。
こばやし 中華そば
千葉市中央区富士見2-16-26
11:00~15:00,17:00〜24:00(売り切れで終了)/日11:00~16:00
月曜定休
京成線「千葉中央」千葉都市モノレール線「葭川公園」各駅より徒歩3分
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